【完】ポケット-幼なじみ-
「蒼井さん!」
後ろから名前を呼ばれて振り返るとあんまり親しくない女の子たちが沢山いた。
…なんだろう?私、なんかしたのかな?
と不安になり、千夏に視線を向けてみると千夏は目をぱちぱちと瞬きをする。
私は女の子たちの方を向き直して
「な、なに?」と言うと
「さっき!!水瀬くんにデコピンされてたよね!」
と高い声で言う女の子たち。
その女の子たちの高い声で耳が痛くなる。
「いいなぁー、羨ましい。あの水瀬くんに触られるなんて。」
そう言って女の子たちはぞろぞろとコートの中に入っていった。
「なんだったんだろ?」
そう呟いて隣にいた千夏をみるとほんの一瞬だったけど少しだけ悲しそうな顔をしていた。
その後にいつもみたいに笑ってから
「ホントホント。なんだったんだろ?」
と呆れたように
言って二人で地面に座り込んだ。
…今日の千夏はどこか変で、聞きたいのに聞いてはいけない気がして。