【完】ポケット-幼なじみ-



自転車は、風のように速く速く走る――…








早過ぎて落ちそうになる。









「だからちゃんとつかめって言ってんのに。」









溜め息混じりにそう言われて、はる君の腰に回している手の力をぎゅ、っと強める。








そしてはる君の背中に自分の顔をつけて目を閉じる―――…












私達の関係はただの




"幼なじみ"ではる君の本名は




"水瀬 陽斗(ミズセ ハルト)"。









親同士も仲良いし、家も隣で私達は生まれた時から一緒だったらしい。









はる君は意地悪だけど優しくてかっこよくてめちゃめちゃモテる。








今思えばきっと私は、ものごころがつく時にはもう、はる君に恋していたんだ。
< 8 / 318 >

この作品をシェア

pagetop