【完】ポケット-幼なじみ-
「なに…するの……」
壁から身体を離しながら言う、
「――我慢してんでしょ。」
掻き乱した後頭の上にポン、
と優しくはる君の暖かくて
大きい手を置かれた。
―――――――――はる君の癖。
その瞬間―――
今まで堪えていた涙が
ボロボロと目から落ちる。
「………う…う…っ。」
容赦なく頬を
伝う涙をごしごしと手で拭う。
「……わた…し…の…せ…」
――――私のせいで、
そう言おうとしたら
「歩夢のせいじゃない。」
とはる君に力強く引き寄せられて
突然、視界が真っ黒になった。