もう一つの甲子園
「やっぱ、これだけ一度に走るとすげーな!」

雅人は興奮ぎみに叫んだ。叫ばないと排気音で聞こえないからだ。

トンネルに入ると、もう誰のバイクの音か分からないくらいに鳴り響いた。

短いトンネルを出て海岸線に出て10分程走ったときだった。

「雅人、パトだ」

ミラーに写ったパトカーがサイレンを鳴らしながら、みるみる一番後ろにいる二人にせまって来た。

先頭集団は、もうダッシュで加速し始めた。

すると前にいた一台が下がって来て「お前達二人でパトカーを押さえていろ」と言ったかと思うと先頭集団めがけて加速して行った。


タカと雅人は沢田の言った「新米」の意味をひしひしと感じていた。

「雅人、仕方ねーな、次の交差点で右に曲がるぞっ!」

「OK、わかった!」

スピードを落として、集団から離れた2台のバイクをパトカーが追って来た。

その後、どこをどう走ったかは覚えていなかったが、二人はなんとかパトカーをまいて待ち合わせ場所へ向った。

待ち合わせ場所へ二人が着くとバイクが10台に減っていた。

「あっ、沢田さん」と言ってかけより「どうしたんですか?」とバイクが減っている理由を聞いた。

「お前達が曲がった後、先でパトが2台待ち伏せしててな、皆ちりじりになったって訳よ」

暫く待っていると5台のバイクがやって来た。

「川口他のやつらは?」「おう、沢田無事だったのか。他のやつらは途中でわからなくなったぜ」

「そうか、後30分程待ってみるか」









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