もう一つの甲子園
それから20分位過ぎた頃。集団でやって来るバイクの音が聞こえた。

他のメンバーが来たのかと誰もがおもった、しかし先頭集団が見えた時、そうでない事が明らかになった。

その集団はみるみる集合場所にしていた駐車場を埋め尽くした。

その時バイクに混じった数台の四輪の中の1台を見てタカと雅人は、あっ!と声を上げた。

「タカ!あの432だ!」

「ほんとだっ!どんなやつが乗ってるんだ」

432から龍二が降りて沢田達の所へ来て言った。

「誰がヘッドだ?」

「俺だ、何か用か?」沢田が歩み出て言った。

「ここは俺たちのシマだ、出て行け」

「あんたも、俺達のシマで走ってるだろ?」

「峠の事を言ってるのか?」

その時、タコおやじの店のシールが貼ってあるバイクが龍二の目に入った。

「お前ら、川辺さんとこに世話になってるやつらか?」

「おやじさんは俺達のチームとは関係ねえよ」

「そうか、だったらぶっ潰しても構わねえな」そう言うと龍二の後ろにいた連中が臨戦態勢に入るのが分かった。

その時、沢田がすかさず言った。

「兄貴の432が泣いてんじゃねえか?」

「てめえに、何がわかる!」

「わからねえよ、めそめそした弟の気持ちなんてものはな!」

「なんだとー」

「432を待ってるモンスターがいるんじゃねえのか?」

「面白い、お前と勝負したくなった。お前がモンスターに乗れ!」

タカと雅人は興奮の坩堝に陥った。

この瞬間、龍二対沢田による怪物432とモンスターZ2の決戦の幕が落とされようとしていた。







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