好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
諦めも要領も悪くて、強欲。
そいう意味では、私と浩二はよく似ている。
「さすが、いとこどうし!」
胸に熱いモノが込み上げてきて、私は軽口を叩いて空を振り仰いだ。
夜空に浮かぶのは、ちょっとスリムな月と、綺麗な星屑。
明日になったら、一番で直也に電話をかけよう。
「生まれて初めて救急車に乗っちゃったー!」
そう言って、驚かせてあげよう。
「亜弓?」
「え……?」
直也の声が聞こえた気がして、私は慌てて周りを見渡した。