好きだと、言って。①~忘れえぬ人~

思いっきり疑惑の眼で尚も睨め付けていたら、隣でこのやり取りを見ていた直也が、助け船を出してくれた。


「亜弓。彼が言っているのはたぶん、家族になる予定の人間、つまり、婚約者だって言う意味じゃないのかな?」


……家族になる予定の人間?


コンヤクシャ?


婚約者って、


婚約者ーっ!?


「はああああっ!?」


言葉と言葉の意味が、脳内で合致した瞬間。


私の口からは、超特大級大音量の「はあ!?」が飛び出し、病院の中を長く尾を引いて響き渡った。


何それ?


何それ!?


何それっ!?


浩二は、直也の助け船に


「まあ……、そう言うこと」


と、ウンウンうなづいた。


なるほど。


そうだったのかー。


アハハハ。


なんて、納得できるかっ!


「どう……いうことよ? 分かるように、説明してくれるんでしょうね」


なんだか。


脳裏を、とてつもなく嫌な予感が走って、私は低い声で呻くように呟いた。

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