好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
「それでも、俺は構わないよ」
喫茶コーナーのイスに座り。
ひたすら反省モードに突入していた私は、その直也の言葉に、ハッと顔を上げた。
「直……也?」
「俺は、この五年間、佐々木亜弓という人間を間近で見てきた。器用に、男を二股にかけられるような人間じゃないことも、知っているつもりだ。
だから、亜弓の心に、他の誰かが住んでいるのだとしても、俺を選んでくれると言うなら、それで構わない。
じゃなければ、プロポーズなんてしないよ」
直也は、こんな私でも、構わないと言ってくれる。
それは、嘘偽りなく、とても嬉しい。
もう、涙がでそうなくらいに嬉しい。
たぶん、私は直也と結婚すれば、その懐にくるまれて守られて、幸せになれるだろう。
でも、もしも。
もしも、『明日世界が滅ぶなら――』
その時、私が選ぶのはきっと……。