好きだと、言って。①~忘れえぬ人~

ハルカは、あの告白の後。


ずっと、後悔していたのだそうだ。


告白をしたことや、思いが届かなかったことをではなく、


私の伊藤君に対する思いを知りながら、知らないフリをしてしまったことを、後悔していた。


その思いは時とともに風化することもなく、恋人になった人物のせいで、もっと強くなっていく。


その恋人っていうのが、私の従弟の浩二だったから。


『もしかしたら、あーちゃんは、今も伊藤君を思い続けているのかも。


もしもそうなら、なんとかしてその思いを実らせてあげたい』


病床のハルカにそう頼まれていた浩二は、私が『伊藤君がサッカー選手になっていることに驚いて文句の電話を入れた』ときに、『未だに伊藤君に思いを寄せている』と確信したそうで、


あの手この手を使って、私と伊藤君をくっつけようと画策したのだと。


そういうことらしい。


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