好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
一連の説明を、浩二から聞き終わった後。
私の中にあったのは、得体のしれない脱力感。
ここ数週間の、あの怒濤の日々は、いったい何だったんだろう?
思わず、虚しい気持ちになっても、誰もとがめたりしないはず。
そして、次にふつふつと湧き上がってきたのは、浩二に対する憤り。
『私の為を思ってくれた』
なんて、感謝する気持ちには到底なれない。
そう。
私は、心の狭ーい女なのだ。
あの、病院帰りの車中での意地悪な質問。
無神経な、伊藤君とのデートのセッティング。
……まあ、これは、私もまんまと乗っかった手前、あんまり強くは言えないけど。
でも。
その後の、浩二の部屋での、あの痛い一言。
私が、いったいどれだけダメージを受けたと思うのか。
それなのに。