好きだと、言って。①~忘れえぬ人~

「似てない、似てないっ、ぜんぜん似てないよっ!」


思わず頭をブンブン振って、全力否定。


ベッドの反対側でも、浩二が同じような反応をしている。


確かに、私と浩二は父親たちが兄弟の血の繋がった『いとこどうし』。


だけど、私は母親似だし、おじさん似の浩二とは骨格自体がまったく違う。


顔だって、どのパーツを見ても、似たところはない。


断じてない!


「顔じゃなくて、雰囲気が似ているの。一緒にいると、なんだかとっても安心できるし――」


私たちの様子を楽しげに見やり、クスクス笑いを纏いながら言うハルカの言葉に、私と浩二はチラリと目配せしあう。


『雰囲気が似ている』と言うのは、不本意ながら血が繋がっている以上、あるのかもしれない。


でも『一緒にいると、安心できる』なんて言われると、


こ、これは、ちょっと、


こそばゆい……。
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