好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
それにしても。
子供の頃いつも、私の後を金魚のフンみたいに、ぴーぴー泣きながらくっついてきた、あの泣き虫・浩二がねぇ。
『一緒にいると安心できる』
なんて言われると、なんだか、しみじみと感じ入っちゃう。
ってベッドの向こう側に視線を送ったら、なんだか浩二が赤い顔をしている。
何、照れてるのよ。
こっちまで、もっと照れるじゃないのっ。
目線でそういう念派を飛ばしていたら、ハルカはちょっと鋭い観察眼を披露してくれた。
「それとね。不器用なくせに、一生懸命なところ」
ア、アハハハ……。
確かに。
ハルカとの約束を頑なに守って、悪役に徹した浩二。
結局最後は、自分の気持ちに嘘がつけずに、結婚直前の恋人と別れた私。
器用とは言い難い。
不器用なのは、佐々木家の遺伝かもしれない。