好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
約一年ぶりに着た赤い金魚柄の濃紺の浴衣は、昨年よりは少し様になっているはず。
セミロングの髪は、頭の高い位置でお団子にして。
右手の中指には、ハルカとお揃いで買った、青い水風船。
左手には、さっき出店で一目惚れして思わず衝動買いした、赤いリンゴ飴。
やっぱり、この大きいサイズじゃないとね。
ちいっちゃい、可愛いサイズのリンゴ飴なんて、邪道よ!
ルンルンと、大振りのリンゴ飴をカプリと一かじりしたその時。
隣を歩くハルカが、おもむろに口を開いた。
「……ねえ、あーちゃん」
「うん、なあに?
リンゴ飴、おいひいよ?」
「あのね、わたし……」
「ハルカも、買ってくふ?」
私は、かじったリンゴ飴の欠片を、もふもふと口の中で転がしながらご満悦で、自分よりもだいぶ下にあるハルカの顔を覗き込んだ。
白い頬を、微かにピンクに上気させながら、ハルカは、何かを決意したように足を止めて、私をまっすぐ見上げた。