好きだと、言って。①~忘れえぬ人~
――や、やだ。
これで泣いたりなんかしたら、笑っちゃうよ、私。
ハルカが、くしゃっと、零れるような笑みを浮かべる。
「あーちゃん!」
懐かしい声が、さらに涙腺を刺激する。
「ハル……カ」
喉の奥に絡んだ声が掠れて、うまく出てこない。
――こら。
見舞いに来た人間が、ぺそぺそしてどうするんだ。
しっかりしろ、亜弓!
私は、心の中で自分に活を入れると、ベッドサイドへ歩み寄った。
「ハルカ、久しぶりー。ゴメンね、浩二に聞くまでハルカが入院したこと全然知らなくて。あいつめ、もっと早くに教えろって言うのよね!
あ、はい、これお見舞い。お花と、適当に面白そうな雑誌とか小説とか持ってきてみた」
私は、涙がこぼれそうになっているのを悟られまいと、早口でまくし立てた。
「ありがとう、あーちゃん」
そんな私に、ハルカはニコニコと柔らかい笑みを向けてくる。