エンドレスワールド
「きっつー!そんな暴言をズバズバ言うから彼氏いない歴18年なんだよ、おとこ女めっ!」
金髪頭の笹森翡翠はベッと舌を出し、幸音に悪態をついてみせる。
そんな罵声を浴びせられた本人はこめかみをひくつかせ、右の拳を握りしめる。
その右手からはミシミシと醜悪な音が聞こえ、どす黒いオーラを放っていた。
それを見た翡翠はさっきの暑さはどこへ消えたのか、体からサーッと熱は引いていった。
幸音が後ろを振り向くと同時に翡翠は走り出し、幸音をサッと追い抜き学校への道を全速力で駆け上がる。
まるで猫に追い回される鼠のように、必死に逃げて行った。
「むぅあぁて~!このちびっ子ヤンキー!!」
鬼の形相とはこのことを言うのであろう。
幸音は逃げる翡翠を追って、一本坂を登って行った。