キミを抱く
「佐藤くん、どうした?」
森くんが
笑いをこらえるような
声できいた
いや
押さえきれない笑いに
もうすでに
森くんの肩は震えてる
「別に
どうもしない」
軽く唇とがらせて
そう答えると
「そうか、そうか」
森くんは下を向いて
クククって笑ってた
「何しに来たのよ」
私が怒った声を出しても
森くんは笑ってる
森くんが幼なじみで
家が社宅の
隣同士だったのは
5年前の話だ
お互いに社宅を出て
引っ越して
家は車で15分くらい
かかるほど離れた
ようやく
笑いを引っ込めた
森くんが
長いため息を吐いて
その
「はぁー」って
ため息のあと
低い低い
かすれた声が
こう訊いた