キミを抱く

誰にも
存在を知られない畑には
ヒトの気配はない

「何の用ですか?」

私が訊くと

「うん」

って
先生は足元の小石を
つま先で軽く蹴った

「……もちろん
ここ学校だし
『先生』として
『生徒』の私を
呼び出したんだよね?」

しばらく黙ったあと
先生は口を開いた

「自分、今日なんか…
変な顔してっけど
なんかあったか?」

「はあっ!?」

突拍子もない言葉に
思わず大きな声が出る

「変な顔って
自分のが変な顔じゃん
そのかっちゃき傷」

指差すと
先生は
頬のかっちゃき傷を
撫でて

「これなぁ
朝起きたら出来てて
寝てる時に
やったんだろうなぁ」

「ふ~ん
隣に女でも寝てて
ヤられたワケじゃ
ないの?」

私が舌を出すと
先生は横目でにらんで
デコピンをした

「いったぁ~」

おでこを押さえて
先生をにらむと

「ウソだぁ
大げさだよ」

先生は
呆れたように
おでこを押さえた
私を見た

本当に少し痛かったけど
先生は謝るのが
大嫌いな
間違った性格してる

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