キミを抱く
会話が途切れて
少し強い風が吹いた
スカートが揺れる
「学校で
こういうの
ダメじゃない?」
出した声が
少しかすれた
先生は黙って
畑の土を見ている
「誰かに見られたら
ってのもあるけど
先生と生徒の時に
こうやって
話はしたくないんだよ
スプー」
先生は苦笑いして
「その『スプー』
もうやめない?
お互いに
本当の名前
知ってるし」
「だけど
スプーはスプーだもん
倉田先生とスプーは
別っていうか
いや
同一人物って
わかってるけど……」
「使い分けたいんだ
俺のことを」
私の言葉を
さえぎって
そう言った先生は
うっすら
笑顔を浮かべてたけど
苦々しい表情に見えた
「ちょっと違う
使い分けるとか」
私の目の前にいるヒト
倉田 春樹
そのヒトに違いはない
だけど
倉田 春樹を
倉田先生と呼ぶのと
スプーと呼ぶのとは
私にとって
ぜんぜん違う
違わなきゃいけない
気がする