The Nightmare Eraser 悪夢を消すもの
 美耶の手が伸び、ソレを人差し指と親指でつまんだ。甘い匂いがする。

「ゴクンて、飲み込まなきゃダメ?」

 この大きさを飲み込むのはかなり勇気がいる。正直飲める気もしない。
 上目遣いの美耶に、建が微笑む。

「飴みたいに舐めて良いよ」

「良かった。いただきまーす」

 美耶がそれを口に含むと、甘い味がふんわりと広がった。

「ハチミツ味……?」

「そう。ビーだけに、ね」

 ギャグだけど……と建は苦笑していたが、美耶が美味しそうにほおばっている様子に、まぁ良いかと思い直した。

「おいしくて、悪夢も見なくなる、文字通り一粒で二度おいしい薬なんだ」

 笑顔の美耶を見て、建は満足げに微笑んだ。

「まだ研究中だから、もしかしたら、本当に確率は少ない筈だけど、また悪夢をみることがあるかもしれないんだ。けど、そうしたら、この薬と、僕のことを思い出してね」

 “B”で片方の頬を膨らませた美耶は、無言でコクコクと頷いた。




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