白い吐息
「…へぇ…」
見たことのない琴の喜びっぷりに圧巻される真人。
「ウソ─────!!」
琴は、きゃぴきゃぴ声から急にドスのきいたオドオドしい叫び声をあげる。
「ど…どうしたの?」
真人は引き気味の怯える目で琴を見る。
「…目だ」
「何?」
「1列目だよ…最前列だよ…」
琴は全身を震わせていた。
「最前列?スゴいじゃん」
「真人〜!!」
テンションが最高潮にまで達した琴は、目をうるうるさせながら目の前で冷静に立っている真人に思わず抱きついた。
「…っ!」
ヤバいよ琴子…
「ヤバいよ真人!スゴい!嬉しい!」
真人の気も知らずガッシリ首に手を回す琴。
「ことっ…」
真人が琴の腰に手を回そうとした時だった。
ヒラっ…
「あっ!」
手から滑り落ちたチケット。
琴は真人を押し離した。
「ゴメン!拾って真人」
チケットは真人の後ろに落ちてしまっていた。
「ん…あっああ」
失いかけた理性を取り戻してチケットを拾う真人。
危なかった…
「…12月23日?」
拾い上げたチケットを見つめ、呟く真人。
「追加公演なの。ホントはイヴかクリスマス当日が良かったんだけどね」
「そっか、追加公演なんだ」