飛べない鳥
僕は雅也がいる自分の部屋から出て空き部屋に向かった。
『どうした?』
『だから暇電だって言ってんじゃん』
ムッとしたのか飛鳥の口調は強かった。
『最近、どう?』
『最悪』
え。
電話の向こうの飛鳥は呆れたようにため息をついた。
『男ってさ
なんでこんなに下品なの』
また飛鳥は溜め息をつく。
“男”と言われ
性別上、男である僕は嫌な気分がした。
『何かあったん?』
『べつに。
出会い系サイトの男って
バカみたいと思っただけ』
つんとした声。
雅也と別れた飛鳥は壊れていた。