飛べない鳥



『私、人殺しなんだよ』



僕の質問に彼女は意味が分からない返答をした。


中学校に入りたてのときの話。


僕は戸惑った。


僕は“なんで親と別居してるの?”と聞いただけなのに。



彼女は微笑む。




『親は死にたくないんだよ。

だからもう長くはない祖母の家に私を置いたの。


あんたも死にたくなきゃ

私から離れたほうがいいよ?』


企んだ顔で笑う飛鳥。


試されているんだと僕は思った。


僕が本当に飛鳥の側にいていいのか

嘘を付いて試しているんだ。



『いいよ、僕は飛鳥と一緒にいる』


そう胸を張って言うと飛鳥は顔色を変えた。


泣いて喜ぶかと思っていた僕は飛鳥が怪訝な顔を見せたのでまた戸惑う。



『離れろよ』



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