幸福論


「楽しいかって言われたらどうだろね?

いろいろ大変だったし…。

でも、幸せだったなぁ、パパ、カッコよかったし。」







「ママは、高嶺の花やった(笑)。」







うあ…、超惚気だし…。

こっちが恥ずかしくなちゃうよ…。







「今みたいに自由じゃなかったもんね…ママたちの若い頃は…。

でも、高校時代は、ホントに楽しかったな…」







「ああ…。

色んなこと楽しかったな。」







いつまでも、恋人みたいな二人。

でも、ホントに大変な思いをしてお兄ちゃんと私を育ててくれた二人。

去年、パパが、こっちに先に移った所為でママと二人の時間が増えた時、色んな現実をママが私に教えてくれた。






※ ※ ※
 ※ ※ ※





寒い12月の夜。

受験勉強の合間。

8歳上のお兄ちゃんは仕事で遅いそんなママと二人の夜。





温かいカフェオレと、ママお手製のジンジャークッキー。







「愛ちゃんも、もう、大人だもんね。

ママとパパのこと、聞いてくれる?」






「高校時代にパパがママに一目惚れした話?」






両手で赤いマグカップを持った私は、クスクス笑った。






「そ(笑)。

でも、甘い話だけじゃないんだよ…。

愛ちゃんに聞いて欲しいなと思って。

ママ、話の途中で泣いちゃうかもしんない。」







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