幸福論
電話を切る時の切なさが少なかった。
それは、きっと、幸谷君のおチャラけが会話のお陰。
「豹柄とか…あり得ないよ。」
一人赤面しながら呟いた私はそれでもニヤケタ顔を隠せなかった。
幸谷君と海…。
恥ずかしいけど、嬉しい。
明日、水着買いに行こう。
一人で買いに行くの恥ずかしいな…。
なんて思いながら、私は、貯金箱を取り出した。
「二万円あれば、足りるよね…」
もう、頭の中は、日曜日でいっぱい。
幸谷君でいっぱいだった。
そうだ…
莉子ちゃんに着いて行って貰おうかな…。
私は、今切ったばかりのコードレス電話を握って、莉子ちゃんの番号をダイヤルした。
「あ、莉子ちゃん?」
『ん、愛子?珍しいやん。
どうしたん?』
「え…とね、明日、忙しいかな?」
『ううん、めっちゃ暇やけど?』
「水着買いに行くの着いて来て欲しいな…と、思って…」
『ええよ、行こう行こう♪』
「…莉子ちゃん、テンション高ッ」