冷たい雨に咲く紅い花【前篇】

「ひっ!」

叫び声をあげていた男が、紘夜の視界から逃れようとする。


「待て!」


男を追おうとする紘夜の体に、
私はしがみついた。


「やめて!もう、やめて!」

「離せ実織!ヤツを逃がすわけにはいかない。ヤツを始末しないとっーー」

「もう、傷ついて欲しくない!」

「俺はもう失敗しない。傷なんかつかない!」

「傷つくよ!もう、ボロボロでしょう? 紘夜の心が!」


ビクッ、

と、紘夜の体が小さく震えた。





< 224 / 413 >

この作品をシェア

pagetop