冷たい雨に咲く紅い花【前篇】
「もう、もうやめよう…。
お父さんの遺志を継いだって、紘夜が傷ついたら、お父さんだって悲しむよ」
「…何も、…何も知らないお前に、言われたくない」
「何も知らないからこそ、紘夜だけを見て言えるんだよ!」
知ったら、
色々知ってしまったら、
きっと、
何も言えない。
でも、
今は、何も知らないで紘夜だけを見ていられるから、
だから、言える。
紘夜だけを想って、
言える。