Au Revoir―再会―


でも、あの日――


たまたま家にいたあたしは、二人の会話を聞いてしまったんだ。


『どうして?ねぇ、どうして今なの?』


ヒステリックに泣き叫ぶお姉ちゃんの声が、壁を越えてあたしの部屋にまで聞こえてくる。


モゾモゾと話す謙の声は、あたしの耳には届かない。


どうしたんだろう。


何を揉めているんだろう。

あたしは壁から耳を離せなかった。


少し前からお姉ちゃんと謙は喧嘩することが多くなっていた。


きっと些細なことが原因なんだろうけど。


それにしても、今日はやけに激しい。


部屋にいても、隣から怒鳴り合うような声も聞こえるし、時にはお姉ちゃんの啜り泣く声もする。


あたし自身、もう耐えられなかった。


謙への憧れが、はっきりと恋心に変わっていくのを自分でも気付いてしまったから。



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