Au Revoir―再会―
ガシッと両肩を掴まれたあたしは、謙の胸に包まれた。
いつも背中を見ているばかりで、こうして真っ正面に立つことなんて中学生以来。
抱きしめられるなんて、生まれて初めてのこと。
謙のことを意識し始めてから、真っ直ぐ彼のことが見られなかったから。
謙の隣には、いつもお姉ちゃん。
あたしは、二人の背中をずっと追っていたんだ。
ずっと好きだった、謙のこと。
認めたくなかったけど、心は正直で……。
長身の謙の胸元にすっぽりと収まったあたしは、この想いを言葉にすることはできなかった。
何から伝えたらいいのか、
何を伝えたらいいのか、
それらのことさえ、わからなかった。
でも、伝えなきゃ。――あたしの気持ちを。
「……ありがとう。本当にありがとう。…ヒック…ヒック
あたしも好きだった、謙のこと。ずっと、ずっと大好きだった。忘れたくても忘れられなくて……」
「そっか。俺のこと、好きでいてくれてありがとう。嬉しいよ」
再び、ギュッと抱き締められたあたしは、恐る恐る謙の背中に手を回した。
それを感じ取ったように、謙はあたしを優しく包み込んだ。