Au Revoir―再会―
……やだ。涙が止まらないよ。
あたし、こんなにも泣く女だったんだ。
今夜一晩で、あたしは一生分の涙を流してしまったようだ。
決して、悲しみの涙なんかじゃない。
幸せすぎる涙だ。
幸せすぎて、怖いくらい。
「七海は泣き虫だなぁ。だからガキなんだよ」
そんな憎まれ口を叩きながら、そっと温かいものが唇に触れた。
さらに、涙腺は決壊した。
「まったく、七海は俺を困らせる天才だな。男は好きな女に泣かれたら弱いんだから頼むよ、本当に」
そう言いながら、謙の細長い指先が、あたしの涙の跡を拭ってくれた。
いつの間に用意していたのだろう。
謙は上着のポケットから小箱を差し出した。
「開けてみて?」
「……いいの?」
「あぁ」
ゆっくりと紐を解いて、蓋を開けた。