もしも僕らが、、、
はじまり
もしも僕らが、、、




第一章 はじまり




あたしの名前は遠野梓(とおのあずさ)
この世であたしより神様に嫌われてる人間がいるとしたら、会ってみたい。
と日々思ってる中学三年生。
部活は無所属、どこにでもいそうな普通の中学生であるはずのあたしはきっとこの世で一番神様に嫌われてるであろう人間だった。
それも、テストの点数が低いからとか、天才的な馬鹿だとか、みんなからいじめられてるとか、嫌われてるとか、そんないいものではなくて、
ただでさえ何の取り柄もないあたしにとって、"それ"は厄介以外のなにものでもなかった。
そんなあたしがそれに気付いたのはつい最近の話。
小学校の頃まで普通だと思っていた事の違和感にようやく気付けた。
それからあたしはだんだんと一部の友人達以外と距離をとるようになり、だんだんと歪んで来るようになってしまった。
さて、あたしのいう"それ"とは一体なんだろうか。
当たり前だと思っていたはずのそれ、は思わぬ事も呼びかねない。
出来れば欲しくなかったそれを説明するのはあまりにも難しく、あまりにもあたしにとって嫌だった。

―ガシャンッ!

もう慣れてしまったガラスの割れる音。
あたしの手は真っ赤に染まっていた。
時間が経てば黒く変色するその液体は、もの凄く気持ち悪い。
それでもあたしの手は止まらなかった。

―あぁ、どうして止まってはくれないんだろう。

尚も止まらぬ手を抑える事も出来ずに、あたしはあたしの中で何かが笑っている事を知る。
そいつが神様に一番嫌われてる理由で、厄介以外のなにものでもなくて、いじめとか、そういうものより嫌なもので。
あたしの中で事実という事実を作りあげていく悪魔で…。

そう、あたしの中にはもう1つの人格、もう1人のあたしがいたのだ。

はじめは確かにもう1つの人格なんて、もう1人のあたしなんていなかった。
でも、今は確かにいるんだ。
横暴で自己中で自分勝手なあたしが。

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