謝罪人 Kyouko スピンオフ小説

「以前、あなたは居酒屋で働いたことがありましたね」
「はい」

拓也は、新宿にある居酒屋でバイトをやっていた。
夕方から朝まで配膳の仕事だった。

「そこで、あなたは何度も酔っ払いの客に絡まれることがありましたね」
木村がしんみりと言う。

「・・・・・・」

「客の服に飲み物をこぼして怒られた時。酔った客が支払う金額が高いと文句を言われた時。あなたは迅速に謝罪をして客に対応しました。それも謝罪した後は、客は何も文句を言わず許してくれましたね」

木村の言った話は事実だった。

なぜか、そのバイト先では客に絡まれることが多かった。

木村が話した客は、しつこいぐらいに拓也に文句を言った相手なので憶えていた。だが、どうして、木村がそのことを知っているのか不思議だった。