流華の楔


「あの浅葱は…新選組!」

「もはやこれまで…!」



刀を抜き向かってくる志士。
けれど、兄の姿はない。



「(上か!) 近藤さん、私は二階に行かせてもらいます!」


「あいわかった。頼むぞ!」


敵と相対しながらも、近藤は白い歯を見せてそう言った。












が、やはりそう簡単には通らせてもらえないらしく。
血眼になりながら刀を構える志士数名に囲まれる。


「ここから先は行かせん!」


さすがに十人足らずの新選組と二十人越えの志士とではこちらに不利がある、か。



「仕方ないか…」


和早は滑らかな動きで鞘から刀を抜き、中段に構える。




「どかないと、痛い目にあいますよっ!」


地を蹴り、一瞬で敵との距離をつめる。



「うっ!」」

「ひっ!」


一人、二人と、首から血を噴き出して死んでいく。

誰にも悟られない殺し方は健在だった。
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