流華の楔





「…ふっ、あはははっ!」



容保が相好を崩した。
さも可笑しそうに笑っている。



「……?」


今の状況で笑うとは何事かと思いつつ、わけがわからず呆然とする土方。




「…だそうだ、和早。聞いていたか?」


「…は?」


「もちろん。すべて聞かせて頂きました」


「は? はあ!?」



どういうことだこれは、と土方は内心焦りまくる。


全部、聞いていたとは。




「…起きてたのか?」


「はい。容保様がいらっしゃった時点では既に」



「………」



なんという恥だろうか。
鬼の副長の面子が丸つぶれではないか。


必死で「必要なのです」とか言ってしまったではないか。


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