流華の楔



しかしさすがにこれ以上の人間に女だとばれるのはまずい。


「え゙」という顔が「げ゙!」に変わった聴衆はさておき、和早はツカツカと彼の前に出る。



「あ、あわわわわ!」



これは、沖田総司を超える女嫌いだからなのか。
はたまたただの緊張からなのか。



「私が女? ははっ、ご冗談を。参謀ともあられる方が、見当違いも甚だしいですな」


「…なっ!」



伊東が押され気味で。
和早の声が妖艶なほど低音で。


こいつは誰だ、と人は絶句した。




「す、すみません…私の勘違いでしたね……初対面なのにすみません」


「はい。それでよろしいのです」



このどちらが上だかわからないやり取りに、オロオロする者有り、ニヤニヤする者有り。
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