流華の楔
夕刻。
鳥羽、つまり新選組が関していない戦地の旧幕軍は撤退した。
鳥羽か伏見、どちらかが撤退した時点でこの戦の勝敗は決まったも同然。
こちらは善戦を繰り広げたがやむをえない。
そのうち撤退命令が下されるだろう。
そんな中、燃やされた拠地を脱した新選組。
被害は、想像以上だった。
「山崎と源さんが…死んだか」
報告を受けた土方は静かに呟き、唇を噛んだ。
空気が重い。
皆、士気を失っていた。