流華の楔
「嫌いじゃないですよ、あなたのこと」
どこかで聞いたことのある台詞。
大丈夫。
まだ、誤魔化せる。
「…仲間としてですよね。前にもそう言──」
「残念ながら本気です。女としてのあなたが好きなんですよ」
ぐ、と沖田の腕に力が入る。
逃げ道は依然ない。
斎藤の時はうやむやにできたのに。
「女として、ね…」
和早は力なく笑い、脱力した。
そこまで言われてしまえば受け止めるしかない。
でも何故。
どうしてみな、己なんかを。
もっと他に、刀の使い方も知らない綺麗なままの女が沢山いただろうに。