流華の楔



「…、話をそらしすぎました。僕はこんな話をするためにここに残ったわけじゃないのに」


「私闘は駄目ですよ」


「知ってますよ! しかも私闘なんてしませんから。僕をなんだと思ってんです?」


「………」



自分の扱われ方に不満があるようだが、わざわざ刀を持って来たような人が言えることではないと思う。







「……勝負しましょう」



真剣な眼差しで和早を見つめ、静かにそう言った沖田。


勝負とは――…




「…これですか?」



愛刀に手をのばし、沖田に確認する。…しかしそれは間違いのようだ。沖田が怪訝な顔をした。



「だから……違いますって。僕が言いたいのは、僕とあなたと、どちらが先に“折れる”か勝負しましょうってことです」



「折れるとは………認める、ということですか?」


「そうです」


「……なるほど…」




先に相手を認めた方が負け。

とても簡単な準則だ。



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