流華の楔




「…何だか土方さんといい感じになっているのだけは癪ですけど、それ以外に和早さんを責める理由はありませんよ。あったとしても今ちょうど忘れました」

「総司の言う通り。俺がこうして生きていられるのも、あの時お前が助けてくれたおかげだし!」

「うんうん、そうだったなぁ平助ぇぇ…」



温(ぬる)い。温すぎる。
温くて篤くて、居心地が悪い。


「……」


彼らの言葉がもっと冷たかったら。

触れるこの手が突き放すようなものだったら、未練など振り切ってすぐさまここから去っているのに。



「…っ、こんな大馬鹿者でも、新選組の一員でいられたんでしょうか……これからも、新選組でいられるのでしょうか」







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