僕とあの子の放課後勝負

僕は明日、雨月さんと画材を買いに行く予定だ。二人ではなく四人だけど、三人とも同じ部活で知り合った友人だ。…それを葵は、いつ、何処で知ったのだろう。昔から情報通な奴だった、けど。

不意に、ぱたぱたとスリッパの音が聞こえる。誰かが、コン、と一度だけノックをした。我が家のルールその一、ノックが一度だった時、次に聞こえる声の持ち主は妹。

「…お兄ちゃん、ご飯だって」
「ありがとう。今行く」

ぱたぱたとスリッパの音がして、また静寂が僕を包む。製作途中の木彫りの人形と、描きかけのキャンバスの兎だけが、僕を励ましている気がした。

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