待て。
はじめの一歩

「なんかおもしれぇコトねぇの?」


「ないよ。山しかないし。」




あー早く帰りたい。

高校2年の夏休み最終日。
アタシはメル友のサトくんに呼び出されて暇つぶしの相手をさせられていた。


「…ちょっと何してんの?」

「は?うるせー」


サトくんは急に道路の標識をグニグニと曲げ始めた。


「マヂ怒られっから」

「誰にだよ」


「…さぁ…」



ダラダラとした会話。なかなか進まない時間。


明日からまたダルいダルい学校生活が始まるっていうのに…


だいたい、高校2年の夏休みっつったら楽しいこと盛りだくさんじゃない?

やりたいことどれだけやれるかって

時間足りねぇよって。




アタシの高2の夏休みは



バイト バイト バイト。



彼氏もできなかったし、そんな出会いの場すらなかったし。



あげく最終日にはこんなですか…




アタシ

このまま老けてくのかな…?



「いつ帰んの?」

「は?もうバイバイなわけ?」

「だってやることないし行くとこないし。アタシ明日から学校だし。」

「つめてーの。わかったよ!迎え呼ぶ。兄貴来るまではいろよ。」


「わかった。」



こらえきれず自分からサトくんを帰してしまった。

なんて言うか…



進みそうもないサトくんとの「繋がり」に時間をかけたくなかった。


アタシって腹黒い。
< 1 / 2 >

この作品をシェア

pagetop