年下の悪魔
自宅前まで送ってはくれたけど、まだ起き上がれないでいる。

自宅に着いた事さえわからなかった。

「さっさと降りろ!!」

容赦ない怒鳴り声に体がビクつく。

その声で、家に着いたんだと気づいた。

顔こそ見えないけど今度こそ、完璧に嫌われた。

「うっ、ふぇっ、うっ、ぐす…」

体が痛い。

家に入んなきゃ。

車を降りたが足取りは重い。



涙でぐしゃぐしゃになった顔で家に入ろうとした、けど

走り去るエンジン音が聞こえない。

もし今振り向いて、涼君がまたいつも見たいに見送ってくれてたら…


そんな訳ないっ、嫌われてるんだもん。


でも、後ろでエンジンの音は聞こえてる。

見送ってくれてるの?

振り向かなくても、エンジン音だけじゃなくても

涼君の視線ならわかる。




「――――――っ!」



バタンッ


ドアを閉め靴を脱ぎ一気に2階の自室まで駆け上がった。

あのエンジン音を聞きたくない。

涼君の気持ちが全然わからない。


振り返る勇気はなかったけど、嫌いならどうして見送るの?


けど、もし振り返って涼君がいなかったらと思うと恐い。


嫌いなら、憎いなら


最後の最後まで酷い男でいてよ。


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