RUN&GUN
目の前で、頭に今しがた落ちてきた大石を乗せて項垂れる朔太郎を気にもせず笑い合う二人を見ながら、与一は手に持った握り飯にかぶりついた。
中から、焼き魚の切り身が覗く。

「まぁ。焼き魚なんてものを、おにぎりの中に入れているのですか?」

お蓉が驚いたように、握り飯を覗き込んだ。

「懐かしいな。これ、三郎太が作ったんだろ」

与一の言葉に、三郎太が、にっと笑う。

与一や三郎太の村は、貧しい村ではあったが、極端に飢えるということもなかった。
腹いっぱいに食べられることもないが、村全体が協力し、稲の出来が悪い家があると、よく自分たちの分以外に、ご飯を握り飯にして差し入れしたものだ。

どの家も裕福ではなかったから、差し入れは飯のみで、おかずの差し入れは基本的にしていなかったが、子供たちはよく、こっそりと握り飯の中に、自分のおかずなどを忍ばせて、友達に差し入れしたりした。
三郎太は、村の子供では大きいほうだったので、自分で握り飯を作って、村の子供たちに配っていた。

「そんなことが、あったんですねぇ」

「三郎太の作る握り飯は、塩味のつけ方が上手いしでかいし、人気だったな」

感心したように言うお蓉に、与一が重ねて言う。
藍が与一の前に、茶の入った湯飲みを置いた。
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