RUN&GUN
「ていうか、お前の分は、特別大きくしてたんだよ。男の中じゃ、一番小さかったし、貧相だったからなぁ」

三郎太が笑いながら言うのに、お蓉が微笑む。

「菊助は、昔から優しいのね」

お蓉と三郎太は、相思相愛になってから、目を離すとすぐに二人の世界に入ってしまう。

微笑むお蓉と、照れる三郎太を冷ややかに見ていた与一は、ついと廊下に目をやった。
そこには、いまだに頭の上に大石を乗せた朔太郎が、立ち上がる元気もないといったように、へたり込んでいる。

「おい、坊主」

情の欠片もないような声で呼ばれた朔太郎は、のろのろと顔を上げた。
与一は茶を飲みながら、朔太郎に手招きした。

「お前、店にゃ出てねぇのか?」

身体を引き摺るように、与一の前に跪いた朔太郎は、唐突な質問に少し首を傾げた。

「お店の前の掃除や、出入り口の掃除はよくしますので、全く店に出ないわけではないですが。接客は、まだできませんけど」

どんよりとしてはいるが、聞かれたことにはきちんと答える。
与一は頷いた。
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