RUN&GUN
「しかしお蓉さん。お客は選ばないと。このような男と二人で部屋に籠もるのは、感心しませんね」

与一に冷ややかな視線を投げながら、風之介が言う。
藍さんもいるだろうが、と思っていると、お蓉が眦をつり上げて、風之介に噛み付いた。

「重ね重ね、失礼な人ね! あなたにそんなこと、言われる筋合いはありません! あなたとの縁談は、お断りしたはずです!」

「・・・・・・私よりも、その男を選んだということですか」

風之介が、目はお蓉に据えたまま、与一を顎で指す。
お蓉は何も言わない。

風之介の目が、与一を捕らえた。
なかなか整った、涼やかな顔立ちだ。
背も高く、そこらを歩けば町娘が熱い視線を送るような色男だ。

---藍さんは男色家だって知ってるから、興味を惹かれないのもわかるけど、お蓉さんは何だって、こいつが気に入らないんだろう---

藍は例え風之介が男色家だと知らなくても、彼に興味は示さないだろうが、与一はそこまで気づかない。
三郎太に関しては、幼なじみだけに性格も知っているので、良い奴であることはわかっているが、お世辞にも見目良い奴ではない。
頑張っても普通の域を出ない三郎太よりも、見かけだけなら風之介のほうが、数段上だ。
お見合いで風之介の顔を見れば、大抵の娘は舞い上がるのではないか。

---それとも、お蓉さんにとっては、三郎太はもう、こいつよりも見目良く映っているんだろうか---

確かに性格に問題はありそうだがな、と思いながら、与一はぼんやりと風之介を眺めた。
< 325 / 407 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop