クラウピア 〜雲の上の国の物語〜
 目の前には巨大な城がある。

ぱっと見で、アラビアンナイトを連想させる。

城だけじゃなくて、街全体がね。

門番も立っている。

『行きましょうか、コウ様。』
『は?』
 いきなり口調が激変。

雰囲気もぜんぜん違う。

『通してくださいますか?』
 門番に向かっていう。
『はっ!』
 門がガラガラと開く。

すると、いかにも執事って人が一礼する。

『ナナお嬢様、よくぞご無事で。』
『ええ。じぃ。心配かけてしまったわね。』
『それが仕事ですから。それより、この方が?』
『はい。名はコウ・ニシモト様でございます。』
 ナナは目であいさつしろアピールをする。

器用な奴だ。

『コウです。よろしくお願いします。』
『コウ・ニシモト様ですね。私は、ナナ様の世話役と、この城の統括を行っている、執事のクスノキと申します。以後、お見知りおきを。』
『こちらこそ、よろしくお願いします。』
『では、国王様のもとへお連れします。ナナ様はどうなされますか?』
 国王?
『私も父上に挨拶をしようと思っています。』
『わかりました。では、行きましょうか。』
 執事クスノキは歩き出した。
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