静かなる蒼き雷鳴(仮)
クトロンの脇に添えられた、蝋燭に火が灯された。
どうやら、この火が落ちるまでが試験時間となるようだ。
静寂だけが空間を支配し、知らぬ人が入れば、無人と思うほどだった。
キムンは静かに、瞑想を続けていた。
(焦ることは無い、おそらく勝負は一瞬で決まる。ソレと知らせるかのように、記憶にある香料の匂いがした。間違いなく試験管は、あの人だ。)
(どうしてあの人は、ことあるごとに俺の前に立ちふさがるのか。)
重要な試験の際に、必ず現れる侍マスターのことを、キムンは考えていた。
(嫌がらせとしか、思えないな・・・・・・ まったく。)
そう思いながらも、キムンは香料の残り香に安堵していた。
何故かはわからないが、キムンはその香りが好きだった。
(よし、行くか。人は能力以上のことはできない。いかに、持てる力を最大限に、有効に出せるかだ)
キムンは静かに立ち上がり、胸の前で独特の印を結び始めた。
そうするうちに、生ある者の息吹が、その空間から消えていった。
元来、侍の極意は「気」といわれるエネルギーのコントロールを極意とする。
武器の性能や込められた魔力を力とする、一般の戦士達とは根本的に戦闘方法が異なるのだ。
今ならば、特殊な能力で物体を捕捉する蝙蝠族の類であれ、キムンに気付かず衝突するかもしれないと思えるほど、存在感はなくなっていた。
キムンがそっと朱雀の扉に手をかけると、まったくの抵抗感も見せず扉はひらいていく。
それど同時に、青龍・白虎・玄武の扉も同じく開いた。
部屋には独自の結界が施されており、部屋の外部の気を遮断する役目を果たしていた。
挑戦者は四方にある、どの扉から入っても良いことになっている。
そしてそれが、扉の開閉で悟られないようにする仕組みになっていた。
それなのに、中央に鎮座する女性の口元が緩み、満足げに目を閉じたまま口を開いた。
「キムよ、やっと来ましたね。 正面から入ってきたことは、褒めてあげましょう」
満足そうに言った後、ややうつむくように顔を落とした。
キムンがいかに隠遁の術に優れようとも、基礎と応用を習得しマスターの称号を得たばかりの侍と、歴戦の将軍クラスである彼女とでは、気の使い方には雲泥の差があって当然であった。
どうやら、この火が落ちるまでが試験時間となるようだ。
静寂だけが空間を支配し、知らぬ人が入れば、無人と思うほどだった。
キムンは静かに、瞑想を続けていた。
(焦ることは無い、おそらく勝負は一瞬で決まる。ソレと知らせるかのように、記憶にある香料の匂いがした。間違いなく試験管は、あの人だ。)
(どうしてあの人は、ことあるごとに俺の前に立ちふさがるのか。)
重要な試験の際に、必ず現れる侍マスターのことを、キムンは考えていた。
(嫌がらせとしか、思えないな・・・・・・ まったく。)
そう思いながらも、キムンは香料の残り香に安堵していた。
何故かはわからないが、キムンはその香りが好きだった。
(よし、行くか。人は能力以上のことはできない。いかに、持てる力を最大限に、有効に出せるかだ)
キムンは静かに立ち上がり、胸の前で独特の印を結び始めた。
そうするうちに、生ある者の息吹が、その空間から消えていった。
元来、侍の極意は「気」といわれるエネルギーのコントロールを極意とする。
武器の性能や込められた魔力を力とする、一般の戦士達とは根本的に戦闘方法が異なるのだ。
今ならば、特殊な能力で物体を捕捉する蝙蝠族の類であれ、キムンに気付かず衝突するかもしれないと思えるほど、存在感はなくなっていた。
キムンがそっと朱雀の扉に手をかけると、まったくの抵抗感も見せず扉はひらいていく。
それど同時に、青龍・白虎・玄武の扉も同じく開いた。
部屋には独自の結界が施されており、部屋の外部の気を遮断する役目を果たしていた。
挑戦者は四方にある、どの扉から入っても良いことになっている。
そしてそれが、扉の開閉で悟られないようにする仕組みになっていた。
それなのに、中央に鎮座する女性の口元が緩み、満足げに目を閉じたまま口を開いた。
「キムよ、やっと来ましたね。 正面から入ってきたことは、褒めてあげましょう」
満足そうに言った後、ややうつむくように顔を落とした。
キムンがいかに隠遁の術に優れようとも、基礎と応用を習得しマスターの称号を得たばかりの侍と、歴戦の将軍クラスである彼女とでは、気の使い方には雲泥の差があって当然であった。