ふぞろいな三角たち
そう思ったとたん、電車が急に大きく揺れて、樹と私との間に、知らないサラリーマンが二人ほど割り込んできて引き離されてしまった。


痴漢らしき人は、相変わらず私の後ろにぴったりとくっついたままで、ずっと私の身体を撫でてばかりいる。




こんなこと初めてで、怖くて声が出なかった。



腕をつかんでひねり返してやればいいのに、身体がこわばって身動きがとれない。

振り向くことも出来ず、樹に助けを求めることも出来なかった。








やだ
やめて

って、ほんとに言えなくなるもんなんだね、いざという時は





後ろをずっと撫でていた手が、次第に前に回ってきて、とうとう大事なところに到達してしまうのかと思ったとたん、その手は急に何かを探すように戸惑いはじめた。











「まさか?女?」










耳元で知らない声がそうつぶやくと、ちょうど降りる駅に到着しあっという間に痴漢から離れることが出来てほっとした。










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