魔女の報酬
 脳髄まで届けよとばかりに渾身の力を込める。
 槍はドラゴンの眼球に突き刺さり、真っ赤な血を吹き出させた。

 だが、脳に達するほど深く突き刺すことはできなかった。ドラゴンにたいしての人はあまりに非力であったのだ。

 痛みに我を忘れたドラゴンの猛烈な咆哮が、辺りの空気を震わせた。頭を地面から持ち上げると、眼球に突き刺さった槍を抜こうとするかのように、凄まじい勢いで長い首を横に振る。まだ槍を握ったままだった王子がふっ飛ばされた。

 バッシャン!

 盛大な水しぶきとともに、王子は派手な音を立てて、川の中に背中から落ちる。槍を眼から抜き取ることを諦めたドラゴンが、すぐ側に迫り、今にも復讐の炎の息を吹きかけようとした。

「何やってんだか!」

 メディアは鋭く叫ぶと、ほうきに飛び乗り突進した。間一髪、王子とドラゴンの間に滑り込んだ。

 瞬間、視界が紅く染まる。

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