魔女の報酬
「失礼」

 ようやく笑いをおさめて上げられた顔を見て、メディアははっと息を飲んだ。女と見違うほど美しく繊細な顔立ち。けれど柔弱な印象を与えないのは、水晶のような透明感を持ち、見るものを引きこまずにはいられない青い瞳のせいだった。

 先程の笑いの名残を残したままの瞳には、強い意志の輝きが宿っていた。

 年の頃は二十三、四か。身なりは銀糸の縁取りのある青いチュニックに白いズボン。腰には柄に青い宝石を埋めこんだ剣をさげていた。

 けっこう派手ななりであったが、それがまたよく似合っている。

(なんなのよ、この気障野郎はっ!)

 多くの女性が気を引かれずにはいられない容姿の持ち主であったが、それゆえにメディアは一目でこの青年が嫌いになった。なにしろ女である彼女自身よりずっと奇麗なのだ。自分が赤毛の冴えない女の子だと自覚があるメディアにとってほとんど嫌味である。おまけに今の彼女は失敗した魔術のおかげで惨澹たる有り様であった。

「いったい誰の許しを得てこんなところに入ってきたのよ」

「ドアの呼び鈴を鳴らしたのだが、返事がなかった」

 赤毛の魔女の不機嫌さにも構わず、彼は気楽そうに答えた。

「大魔女メディア殿はどこにおられる?」

「メディアですって?」

 彼女は怒りを新たにしながら叫んだ。

「私がそのメディアよ。大魔女かどうかは別にしてもね」


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