鬼殺し
「涼子って、仁史と付き合ってたんだっけ」

詩織がふと冷めた声をあげた。

その言葉が部屋の温度を一気に下げた。

凄まじい形相で震えている仁史の瞳が、異常な振るえを見せている。

一時的なパニックに陥っている。

「仁史!……仁史!しっかりしろ!
俺の方を見ろ!おい!!」

冬耶が自分の左足にかかっている手錠を忘れているかのように、必死で仁史の元へと近寄ろうとした。

が、勢いのまま顔面を床に打ちつけ、仁史の前で情けないうめき声をあげる。
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